奇跡の年

梅雨が近づいてきて、寝苦しい夜が増えてきましたね。
そんな時期でも爽やかな中村です。こんにちは。

 


突然ですが、みなさまは昆虫はお好きでしょうか。
私はとってもとっても好きです。
と言っても、捕まえたり飼ったりする訳ではなくて
その生態や能力にすごく興味がある、という意味です。
(なんなら触るのは苦手です。暴れるし。飛ぶし。)

 

 

今日はその中でも「セミ」についてのお話を少し。
セミ(蟬・蝉)は、カメムシ目(半翅目)に分類される昆虫の総称で、
日本では夏〜秋口にかけて羽化して成虫になります。
晴れた日にはうるさいくらいに鳴いていますよね。
(ただし鳴くのは成虫の雄だけであり雌は鳴きません。あれは求愛行動なので。)

 


彼らは卵→幼虫→成虫とという、いわゆる不完全変態をする虫で、
一生のほとんどは土の中で過ごします。
その期間は種類によって異なりますが、
日本に生息する蝉は2〜5年ほどを土の中で過ごしたのち、
羽化するタイミングで土から出てきて成虫となります。
(ちなみに成虫の寿命は、以前は1〜2週間と言われていましたが、
2000年代から研究が進み、現在では1ヶ月ほどあるとされています。)

 

 

さて、セミの中には「周期ゼミ」と呼ばれる、
毎世代正確に17年または13年で成虫になり大量発生するセミがいます。
彼らは別名「素数ゼミ」と呼ばれています。

 

 

なぜ彼らが13や17といった周期で出てくるのか。
それは私たちが小学5年生で学ぶ【最小公倍数】が大きく関係しています。

 

 

例えば、2年ゼミと3年ゼミがいる地域を考えてみましょう。
この2種は、最小公倍数の6年ごとに同時発生することになります。
すると、お互いがお互いの種の繁殖の妨げになったり(交雑が増えてしまう)、
どちらかが持っている病原菌がうつりやすくなったりと
種の保存に対しての弊害がたくさん出てきます。

 


対して、13年と17年の周期だとどうなるか。
2との最小公倍数は26と34、3との最小公倍数は39と51です。
このように大きめの素数の周期を持つことは、
同時発生までの期間を長くし、さまざまなリスクを減らすことに役立ちます。

 


そしてなんと、実在する彼ら自身の周期である、13と17の最小公倍数は221。
つまり、彼らが同じ地域で同時発生するのは221年ごとに一回のみで
それ以外の年には交雑も、新しい病原菌の感染もほぼほぼ心配しなくていいことになります。

 


そしてそして、なんとなんと!!
今年はその大量発生の周期が被る年なのです!!!!
前述した通り、これは221年ぶりの、奇跡の年なのですよ。
前回は1803年で、次回は2245年ですから、
自分たちが生きている間に出会えるのは本当に凄いことなんです。

 


ちなみに羽化するセミの数はおよそ1,000,000,000,000(一兆)匹とも言われています。
Youtubeで現地の様子を見たのですが、圧巻でしたよ。
気になる人は「素数ゼミ」で検索してみてください。
ただ、虫が苦手な人は絶対にやめた方がいいです、普通に閲覧注意レベルでした(笑)

 

 

 


とまあこのように昆虫たちは、自身の種の保存のために
わたしたち人間では絶対にできない生存戦略をとることがあります。
こういった能力や生態に惹かれる私の気持ちを、
このセミの話を聞いて少しでも理解していただけたでしょうか…?

 


本当はもっともっとセミ雑学を披露したいところなのですが、
みなさんの貴重な時間をこれ以上ちょうだいするのは申し訳ないので
この辺りで失礼します。

 


それでは、また来月。